2014年07月05日

大井川鐡道 きかんしゃトーマス運行の裏側(14年7月)

 先日、大井川鐡道で蒸気機関車「きかんしゃトーマス号」の運行について紹介した。その運行に至る裏事情が見えてきたので、紹介しよう。

 現在、日本には蒸気機関車を運行している鉄道会社は7社ある。JR北海道、JR東日本、JR西日本、JR九州、真岡鐵道、秩父鉄道、大井川鐵道である(参考文献では6社となっており、JR西日本が抜けている)。このうち、トーマスに似た小型機関車は、JR北海道のC11形、大井川鐵道のC11形とC12形、真岡鐵道のC11形とC12形がある。C11形はトーマスの雰囲気にピッタリ。トーマスなら世界中から集客を見込める。3社とも名乗りを上げたはずである。では、なぜ大井川鐵道に決まったのか?

(1)きっかけの立役者の存在
 「きかんしゃトーマス」は、複数の電鉄会社がラッピングトレインを走らせている。中でも富士急行と京阪電鉄は実績が多い。京阪電鉄は同社の3000系を大井川鐡道に譲渡したこともあり縁が深い。その関係で、京阪電気鉄道がソニー・クリエイティブプロダクツに大井川鐵道を紹介した。

(2)集客低下に悩む大井川鐵道の事情
 大井川鐵道はSL列車の観光収入で普通列車の赤字を埋めるという経営体質である。しかし近年、SL列車の集客が鈍っていた。その理由は二つ。JR東日本のSL復活と観光バスの制度変更である。

(3)完全民営、自社工場ならではの素早い対応能力
 大井川鐵道のトーマスは、C11 227号機の塗装を変更している。さらにヘッドライトの位置をトーマスの顔の左下に移動している。ヘッドライトは安全保安部品であるから、改造にはお役所の認可が必要である。客車もオレンジに塗り替えた。営業運転時は座席にはトーマスと仲間たちを描いたヘッドカバーが装着される予定であるが、これも改造と見なされ、難燃素材を使うなど条件があり、認可が必要だという。

 旅客営業用の車両を改造すると、監督官庁の審査が必要になる。そして、鉄道会社の運営が第3セクターになると、車両の改造についての決済も時間をがかかる。あるいは反対意見があって進まない。その点、完全なる民間企業の大井川鐵道は動きが早かった。

(4)過去の実績
 2013年、大井川鐵道は実験的にC11形を青く塗り、大きな目玉を付けた「SLくん」を運行した。この試みは、子どもには好評だったようだ。しかし、保存鉄道としてのSLを好む鉄道ファン層や年配の旅行者層からは不評だった。2007年にタイから帰還したC56形をタイ国鉄時代の緑色にしたときも賛否両論あったという。

 日本国鉄型のSLは黒。この呪縛は他のSL運行会社にもあるだろう。しかし、大井川鐵道の「SLくん」の試みは、トーマス関係者にとって「柔軟に対処できる鉄道会社」と感じられたようだ。まがい物の青いSLを走らせるくらいなら、トーマスを走らせてもらいたい。これは、トーマス関係者だけではなく、トーマスファン、鉄道ファンにも同感できる部分である。

 SL集客の落ち込み、試行錯誤の試み。そんな大井川鐵道にとって、トーマスの話は絶好のチャンスだったはずである。すでにトーマス列車は今年の運行日すべてが満席である。同社がトーマス列車の運行を発表し、6カ月前から予約受付を開始した時点で、すぐに席は埋まった。大井川鐵道はトーマス列車について、「3年間の夏季」契約をしているという。今年、トラブルがなく無事に成功すれば、あと2年間は大井川鐵道でトーマスに会えるだろう。

参考:Business Media 誠
posted by 城崎かすみ at 23:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 民鉄・3セク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。